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擇木道場

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東京都台東区
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埼京支部 松井龍泉 定年を過ぎて良い機会でしたので、恥ずかしながら会社生活を振り返って「仕事と禅」と 題して書きました。 学生時代に「医療分野への工学の活用」に興味を持ったため、画像診断装置の製造・販売 ・サービスをしている会社に就職しました。未上場で知名度の低い会社でした。 当時、英国で頭部用X線CT装置という画期的な装置が発明され、国内の病院では英国製の 装置が導入されつつありましたが、私が入社した会社がその年に、頭部用X線CT装置の国産 第一号を開発して出荷しました。以後、CT装置も会社の主力製品になっていきます。 入社して8年目に新機種の開発を担当した。欧州企業のOEM生産もあって、販路はワールド ワイドになりました。 海外出張することもあって仕事は忙しかったのですが、仕事から離れたときに悩みを感じ ていました。人間関係と自分の動き方に関するもので、決断力不足が気になっていました。 それは自分に自信が無いことが原因であると思われました。 30代になると自分に自信を付けて、人間的に成長する方法を模索し始め31歳のときに、 オイゲン・ヘリゲルさんの「弓と禅」を読んで魅かれました。また、山岡鉄舟の「仕事人」 としての能力にあこがれました。 その根源に「禅」があると知って、全生庵で坐禅をしようと思いました。長時間坐る自信 が無いので自宅で練習してから臨もうとして原田祖岳さんの「坐禅入門」を読んでやって みましたが5分も坐れませんでした。 一方、交友関係を広げるため、社外サークルを物色していましたが、初心者向けの「登山 教室」がきっかけで「岩登り」にはまり、35歳のときに山岳会に入会しました。「雪山」 「岩登り」「沢登り」「縦走」など季節や山行形態を問わず没頭しました。 活動を通じて、自信もついて、仕事以外の友人を持つことができましたが、会社の職制でも 責任ある立場になったため、危険行為からは身を引いて47歳で山岳会を退会しました。 山岳会活動をしているときも「禅」を模索していて、45歳のときに全生庵の坐禅会に参加し ました。20分の坐禅は難しくありませんでした。そして、毎週、日曜日夜の坐禅会に3年間 通いましたが、師のいない坐禅、作務や摂心が無いことに疑問を感じました。 本やテレビで見た禅寺の清浄な雰囲気、雲水の生活に魅力を感じましたが、娑婆で生活する 身では踏み込めない世界です。 仕事をしながら禅寺と同じようなことを実地体験できるところはないか探していたところ、 全生庵に行く途中で見かけた達磨の看板に引き込まれまして、擇木道場の日曜静坐会に参加 してから現在に到っています。 私の仕事は機械の設計です。設計は図面を描くだけではなく、動き回ることも多い仕事です。 装置仕様に関しては営業、サービスと打合せ、部品の発注に関しては協力会社、資材との調 整が必要です。組立に関しては現場、生産技術の意見を聞くことが必要です。製品原価を積 算し、目標原価に合わせて調整を図らなければなりません。試作機を設計自ら組立てること もあります。試作機の動作・性能確認、寿命試験は設計の仕事です。 耐用年数10年を確認するため、昼夜連続運転を一年以上継続しますが、その間にはいろいろ と問題が発生するので原因究明、対策案の創出、設計変更もします。型式認定試験では品証 が関係する「いじわる試験」をクリアさせなければなりません。また、装置が国際安全規格 に適合していることを認定する第三者機関の審査も受けます。設計は性能、原価、開発全般 の大部分に責任を負う仕事で、専門知識、企画、実行、調整力など、仕事人として総合力が 要求されました。 私の場合、仕事を続けるうえで坐禅は大きな力になりました。①決断力がついて行動が早く なりました。また、気分転換が早くなり、いつまでも悩むことはなくなりました。②不具合 の原因究明に対しては粘り強くなりました。また、③ひらめき力がついて対策案の創出に役 立ちました。 「無功徳」と言われますが、どうしてどうして、私の場合は大きな効用があったと思います。 今思えば、もしかしたら12年間の山岳活動は「禅」への導入部だったのではないかと思って います。「禅」とは仕事をする人間の力を生み出す源泉なのだと思います。 現在、1日1炷香の「数息観」と評点付けをやっています。点数はどうであれ、「数息観」が 深まっていくことを感じております。 そして、本当に熟達したときの状態を楽しみに、これからも続けていきます。合掌
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「武士道について 栗原 道妙(2008年4月記)
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